地震エネルギーの計算・マグニチュード・メガトン・ジュール・キロワット・KWH・質量欠損・質量欠損エネルギーとの比較・換算表
M11、 M12、 M13、 M14、 M15、 M16、 M17、 M18、 M19、 M20、
M21、 M22、 M23、 M24、 M25、 M26、 M27、 M28、 M29、 M30、
M31、 M32、 M33、 M34、 M35、 M36、 M37、 M38、 M39、 M40、
地震のエネルギー・火山の噴火エネルギー・核爆弾のエネルギー・隕石の衝突エネルギー・電力エネルギーの比較。マグニチュード0から45まで、エネルギーの大きさを比較してみました。比較の基軸となるのはジュール(各表の左から2列目)です。有効数字は3桁。どの桁も1.00から9.99まで一応きれいに並べてあります。但し全てを1表にすることは出来ませんでした。容量オーバーです。そこでマグニチュード0〜5、5〜11、12〜17、18〜23、24〜29、30〜35、36〜41、42〜45の計8枚に分割しました。それでもパソコンによっては読み込みにかなり時間が(3〜4分)かかります。また読み込んでも固まることもあります。読み込みがモタつく場合はその下の各M数をクリックしてください。
広島原爆M5.96(13.1KT:0.612g)や長崎原爆M6.08(20KT:0.935g)の質量欠損が1グラムにも満たないことには改めて驚きました。関東大震災M7.9では497gで10.7メガトン、阪神大震災M7.3ではわずか62gで1.34メガトン相当です。東日本大震災M9.0は22.2kgで477メガトン、チリ地震M9.5は125kgで2680メガトン、スマトラ沖地震M9.1は31.4kgで674メガトンでした。津波警報を出すか出さないかの分岐点となるマグニチュード6.3の質量欠損はわずか2g弱。真夏の最大電力1億キロワットでも1時間でわずか4gです。
1メガトンは46.5gの質量欠損。黒部第四ダムの年間最大発電量は2.53メガトンで118gの質量欠損。史上最大の核爆弾ツァーリボンバ50メガトンは2330gの質量欠損。中国三峡ダム年間発電量847億kWhは72.9メガトンで3390gの質量欠損。1991年のピナツボ火山噴火は2390メガトンで111kgの質量欠損。恐竜を絶滅させたユカタン半島巨大隕石衝突はマグニチュード約12.5で9610万メガトン(約1億メガトン)、質量欠損は4470トン。それでも太陽が1秒間に発するエネルギー915億メガトン(質量欠損約426万トン)には遥かに及びません。(誤差はそれぞれあります)。
このようにエネルギー比較が質量欠損やメガトン換算によって実感できます。その他、ハリケーンや超新星爆発のエネルギーも概算値ですが載せてあります。隕石や小惑星が衝突した時のエネルギーも合わせて載せました。もちろん実際の侵入角度や速度はまちまちですが、一般的な速度として20km/sとしました。物体の密度は月と同じと仮定して計算しました。月の重さが7.347673x10の22乗kg、平均直径が3474.3kmですから、あとは隕石の直径だけで重さが決まり、エネルギーも決まります。
特に気づいたことは、水の蒸発エネルギーの大きさでしょう。 これはつまり淡水を作るのにいかに莫大なエネルギーがいるかということです。淡水1トンを作るには、TNT火薬なら582.5kgもいるのです。輸入無煙炭(上質な輸入石炭)なら89.6kg必要です。ガソリンなら70.4kg、灯油なら66.4kg、軽油なら63.8kg、A重油なら62.3kg、C重油なら58.4kg、国産天然ガスなら59.6kg、輸入天然ガスなら44.8kg必要です。
なぜ身近なエネルギーの方がパワーがあるのでしょうか。これは恐らく、エネルギーの形態によるものでしょう。TNT火薬の燃焼は一瞬で体積が何倍にも膨張するので、力学的な馬力は大きいですが、長続きせず、発熱量はむしろ小さくなってしまいます。石油やガスは体積の膨張は比較的小さいですが、燃焼熱が大きくて時間も長いので、結局大きい仕事をこなすことができるのです。自然界では海水の蒸発は、太陽エネルギーがほぼ全てをこなしています。太陽エネルギーがいかに莫大かということです。
一般的な入道雲には大体10万トン〜50万トンの水が溜め込まれています。この淡水を作るためには、TNT火薬換算で最低でも58.3キロトン〜292キロトンのエネルギーがいります。それは表を見れば分かるでしょう。広島型原爆を13.1キロトンとすると、たった1個の入道雲に何と4発〜22発分のエネルギーが溜め込まれていることになります。入道雲は原爆よりも力持ちなのです。雲が高い空に上がるためにはまたエネルギーが要りますが、蒸発に要するエネルギーに比べればごくわずかです。
原爆では多くの人が亡くなりますが、入道雲で人が大ぜい死んだりはしません。もちろん落雷や竜巻を起こすことはありますが、桁違いにおだやかです。それは同じエネルギーでも、激しさ(温度の高さと仕事率)が違うからです。核兵器は莫大なエネルギーをごく一瞬の間(〜10秒)に、超高温(百万度近く)で放出するのに対し、入道雲は時間をかけて(〜2時間)、限られた温度の範囲(−50度〜30度くらい?)でゆっくり消滅してゆくからです。有難いことに入道雲は夏の高い気温を劇的に下げる効果があります。原爆が発熱のエネルギーなら、入道雲は吸熱のエネルギーというわけです。もし原爆のエネルギーを使ってクーラーを回し、夏の夕立の涼しさを再現しようと思ったら、4発〜22発もいるということです。そのくらい入道雲のエネルギーは莫大というわけです。
台風エネルギーの評価・計算は人によってまちまちです。いろんな記事を読んでみると、だいたい10の17乗ジュールから10の19乗ジュールの間くらいのようです。しかしその計算方法は、台風のある一瞬を捕らえて、回転運動エネルギーだけを計算しているようです。しかし実際の台風は、丸一日或いは2日も3日も吹き荒れるのが普通です。つまりその一瞬のエネルギー(大気の回転エネルギー・慣性エネルギー)が2〜3日持続するわけですから、さっきの計算だけでは物足りない気がします。おまけに大型台風の場合、発生から消滅までに大量の雨が降ります。その水の量だけで1000億トンにもなるとのことですから、その莫大な淡水を作るだけで、2.44×10の20乗ジュール(TNT換算58300メガトン)のエネルギーが必要です。それに加えて回転エネルギーが2日も3日も持続するのですから、想像を絶するエネルギーを発散していることになります。これはもちろん、太陽光線が昼間ずっとエネルギーを補給し続けているからです。一般に大型の10の18乗ジュール級の台風では一秒間に10の13乗ジュールのエネルギーを失っていくとのことですから、これが3日間持続すると考えると、86400秒×3日×10の13乗ジュール+10の18乗ジュール=3.59×10の18乗ジュール(TNT換算858メガトン)の運動エネルギーを発散することになります。そうすると、それらのエネルギーを足し合わせると、58300メガトン+858メガトン=59158メガトンとなり、前の数字58300メガトンとほとんど変わらない(約1.5%の誤差)ことになります。つまり、太陽が大型台風を作る時、太陽エネルギーの約98.5%は海水の蒸発に費やされ、残りの約1.5%が風に使われるということです。その風のエネルギーが858メガトンというわけです。でもこの計算は極めて大雑把です。実際の風のエネルギーはもっと大きいに違いありません。超大型台風なら、1000メガトン〜1万メガトンくらいあるでしょう。
隕石・小惑星・惑星の質量別・速度別・衝突エネルギーその1(TNT換算・メガトン)